
消化器科の検査ってどんなことするの?
こんにちは。外科医のもぐたんです。
病院やクリニックでは、さまざまな検査を行い病気を見つけます。
血液検査やレントゲンは、多くの人にとって身近ですよね。
最近では、近所のクリニックでもCTやMRIが受けられるところが増えています。
「大きな病院に行かずに、近くのクリニックで検査ができて安心!」と感じる方も多いでしょう。
一方で、大学病院や総合病院でしか受けられない、専門的な検査もあります。
この記事では、特に消化器科で行われる検査について、
主にクリニックなどでも気軽に受けられる外来中心の検査
主に大きな病院でしか受けられない専門的な検査
に分けて解説していきます。
今回は「外来編」になります。
1つ1つの検査だけで1つの記事が作れると思います。
そこで、検査の細かい方法や内容は別の機会に紹介することとし、今回は「こんな検査があるよ」という全体像と、外科医として日々感じることを気軽に解説していきます。
外来検査編前半は、
- 腹部超音波検査
- 上部消化管内視強検査(胃カメラ)
- 下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
外来検査編後半は、
- 消化管造影検査(バリウム検査)
- ヘリコバクター・ピロリ菌検査
- 便潜血検査
について解説していきます。
後半戦はこちらから↓↓↓
それでは早速解説していきましょう。
主にクリニックなどでも気軽に受けられる外来中心の検査
腹部超音波検査
腹部に超音波を当てて、おなかの中の臓器を画像で見る検査です。
リアルタイムで臓器の動きや血流、構造を確認することが出来ます。
特に消化器系では、肝臓、胆嚢、膵臓、胃、腸などを調べます。
ゼリーを塗って機械を当てるだけで、痛みもなく、放射線も使わないので安心して受けられます。
実際に消化器科の医師がよく観察するのは、
- 腹腔内に出血や腹水など異常な液体が溜まっていないか
- 腹腔内出血や肝硬変、術後の腹水の有無など
- 大動脈など大きな血管に問題はないか
- 腹部大動脈瘤や大動脈解離の有無など
- 肝臓、胆嚢、膵臓など各臓器の評価
- 肝臓:脂肪肝・肝硬変の有無、状態の評価
- 胆嚢:胆石・炎症・腫瘍の有無 胆管の拡張の有無
- 膵臓:膵石・腫瘍の有無 状態の評価
あたりかと思います。
実質臓器(肝臓・膵臓などの「中身が詰まった臓器」)は比較的見やすいですが、管腔臓器(胃や腸のような「空洞がある臓器」)は、状態によっては細かい評価が難しいことがあります。
「腸がパンパンに張ってるなー」といった状態は分かりますが、「胃や腸のこの部分に腫瘍がある」
というのはなかなかわかりません。
検査は専門の資格を持つ技師や医師が行いますが、技術やお腹の状態、当てるタイミング・角度によって結果が変わるため、再現性や客観性に欠けます。
「見逃す」ことは少なくても、「見えない」ことがある検査です。
実は、クリニックの医師が肝臓や胆嚢、膵臓の早期のがんを見つけて専門医に紹介して頂いた場合、「すごい!」と感じることが多い、奥が深い検査です。
上部消化管内視強検査(胃カメラ)
口、または鼻から細いカメラ(内視鏡)を入れて、食道・胃・十二指腸の内部を観察する検査です。
内視鏡で観察することで、腫瘍やポリープ、炎症などの小さな病変も発見できます。
必要に応じて組織を採取(生検)し、病理検査で良性・悪性の判断が可能です。
最近では希望に応じて、鎮静剤を使用して検査を受けることも可能になっています。
内視鏡を挿入し、空気を送り込んで消化管を膨らませながら観察していきます。
胃や腸は消化・吸収を効率よく行うため、ヒダが多い臓器です。
空気を送り込んでヒダを広げることで隅々まで観察していきます。
小さな病変はヒダの間に隠れてしまうことがあります。
また、検査中は胃を膨らませるため、ゲップを我慢するのがポイントです。
ココが頑張りどころです。
検査終了する際にはなるべく空気を抜いた状態でカメラを抜いていきますが、どうしても腸の方に空気が送り込まれてしまうので、検査後お腹が張ったりしてしまうこともありますが、ガスが出れば楽になります。
鎮静剤を使用した場合は、帰宅する際は車や自転車の運転は危険なので控えましょう。
健康診断レベルでの鎮静をせずに行う経鼻内視鏡と鎮静を行う経口内視鏡を比較することが多くなってきています。
現段階ではそれぞれメリット、デメリットが有る状況のため、両方一度受けてみると良いかもしれません。
私は鎮静なしの経口内視鏡を受けたことしかなく、正直つらい記憶しかありませんが笑
参考文献:日本消化器内視鏡学会「一般の方へ:よくある質問(Q&A)」

内視鏡検査において一番重要な目的の1つは早期癌胃癌の発見です。
どのくらいの間隔で検査を受ければ良いかについて一定の決まりはありませんが、1-3年間隔での検査が勧められています。
参考文献:日本消化器内視鏡学会

下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸カメラは肛門から細いカメラ(内視鏡)を入れて、直腸・結腸(大腸)・一部の小腸を直接観察する検査です。
胃カメラと同様に、内視鏡で観察することで、腫瘍やポリープ、炎症などの小さな病変も発見できます。
必要に応じて組織を採取(生検)し、病理検査で良性・悪性の判断が可能です。
最近では希望に応じて、鎮静剤を使用して検査を受けることも可能になっています。
状況に応じて、その場でポリープを切除することもあります。
腸を綺麗にするために前日当日の朝から下剤を飲みます。
数時間かけて1-2Lの下剤を服用しますが、その時の下痢が大変で大腸カメラが大変な検査と言われる1つの理由ですよね。
大変ですが、ココが頑張りどきですね。
組織を生検したり、すぐ取れそうなポリープは一緒に切除することもあります。
サイズが大きかったり、多発している場合は後日にポリープ切除目的にもう一度行うこともあります。
いざ検査を行って異常がない、もしくは治療を行った場合は次の検査をどうするべきでしょうか。
日本消化器内視鏡学会によれば、
- 大腸がんの内視鏡治療・外科治療を行った
- 10個以上のポリープを切除した
- 20mm以上の大きなポリープを内視鏡治療で切除した
上記の場合は1年後の検査を受けることをお勧めしています。
当てはまらない場合は次にあげる便潜血検査の継続か、2-3年に1度の検査をお勧めします。
参考文献:日本消化器内視鏡学会
昨年大腸内視鏡検査を受けました。今年も受ける必要がありますか?
前半のまとめ
今回の記事では、消化器科で行われる検査を、特に外来でも行える検査にフォーカスを当てて解説しました。
前半の今回は、
- 腹部超音波検査
- 上部消化管内視強検査(胃カメラ)
- 下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
について解説しています。
検査ごとに特徴があり、適切な間隔で受けることが重要です。
それでは後半戦もみてみましょう。
後半戦はこちらから↓↓↓
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