
消化器科の検査ってどんなことするの?
こんにちは。外科医のもぐたんです。
さて、今回は主にクリニックなどでも気軽に受けられる外来中心の検査の後半戦になります。
外来検査編前半は、
- 腹部超音波検査
- 上部消化管内視強検査(胃カメラ)
- 下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)
について解説してきました。
前半戦はこちらから↓↓↓
後半は、
- 消化管造影検査(バリウム検査)
- ヘリコバクター・ピロリ菌検査
- 便潜血検査
について解説していきます。
前回の検査に比べてあまりやらない検査もあるかもしれませんね。
それでは早速みていきましょう。
主にクリニックなどでも気軽に受けられる外来中心の検査
消化管造影検査(バリウム検査)
消化管造影検査は、X線を使って食道・胃・小腸・大腸などの消化管を詳しく調べる検査です。
バリウム(造影剤)や空気(二重造影法)を使うことで、消化管の形や異常をより鮮明に観察できます。
食道・胃・十二指腸を調べる上部消化管造影と大腸を調べる注腸造影に大きく分けられます。
小腸を造影することもありますが、上記2つに比べれば稀な検査だと思います。
上部消化管造影検査は今も比較的検診や人間ドックなどで行われている検査です。
バリウムの付着の仕方やはじき方でポリープや腫瘍の有無、形状、場所を調べます。
ただし内視鏡のように直接病変をみるわけではありませんので、内視鏡ほど辛くはありませんが、病変の詳細な評価や組織の採取(生検)は行えません。
個人的には検診としては、上部消化管造影検査、注腸造影検査を行うよりも内視鏡を行うことをおすすめします。
理由としては、先程の理由で病変の詳細な評価や生検が出来ず、造影検査で病変が指摘されると結局、内視鏡を行う必要性がでて二度手間になるためです。
そして検査の結果を読み解く(読影)のにとても高い技術・判断能力を必要とするため、一朝一夕で身につけられるものではなく、読影できる医師も限られています(恥ずかしながら私も苦手です。) 。
内視鏡が辛くて大変ということであれば、鎮静剤を併用しながら行うことをお勧めします。
それではもう消化管造影検査は不要なの?という話になりそうですが、そんなことはありません。
これらの検査は実際に癌や腫瘍がある場合は、内視鏡より客観的に腫瘍の位置(局在)を把握することが出来ます。
そのため、実際に外科医が手術する際に”腫瘍がどの位置にあるため、どこらへんで切除しよう”という手術戦略には必須となります。
昭和からある古い検査で、スクリーニングとしては他の検査に置き換えられてきています。
実際その方が患者さんも医師も楽ですが、外科医にとっては完璧な手術を目指すうえではなくてはならないものなのです。
ヘリコバクター・ピロリ菌検査
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、胃の中に生息し、胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因となる細菌です。
そのため、ピロリ菌の検査は重要です。
ただし、保険適応となるのは、
- 内視鏡検査などで胃・十二指腸潰瘍・胃炎の診断がされている
- ピロリ菌感染が原因で至ったと考える疾患(胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病)と診断されている
- 早期胃癌に対して内視鏡治療後
など条件があります。
“健康診断ついでにピロリ菌の検査もしてほしい”というのは自費診療になりますのでご注意ください。
検査の方法は複数あり、診察した医師の判断や状況で使い分けがなされています。
- 非侵襲検査(内視鏡を用いない)
✅尿素呼気試験(UBT):尿素を含む試薬を内服し、呼気中の二酸化炭素を測定する方法
✅血清抗体検査:血液中のピロリ菌に対する抗体を測定します。
✅便中抗原検査:便中のピロリ菌抗原を検出します。
- 侵襲的検査(内視鏡を用いる)
✅迅速ウレアーゼ試験:内視鏡中に採取した胃粘膜を試薬に浸して、色の変化で判定します。
✅組織鏡検法:採取した組織を顕微鏡で観察し、ピロリ菌の存在を確認します。
✅培養法:採取した組織を培養し、ピロリ菌を増殖させて確認します。
やはり内視鏡検査を行わずに調べるほうが圧倒的に気軽ですよね。
尿素呼気試験や血液検査で行える血清抗体を調べる方法が診断には使われることが多いと思います。
ただ、尿素呼気試験は既に抗生剤や胃薬を服用している場合は検査結果に影響することがあったり(菌がいるのに陰性になる=偽陰性といいます)、
血清抗体は過去の感染も含めて陽性になるため現在の感染状況がわからない注意点もあります。
おすすめは初回は血清抗体で診断して、除菌後の効果判定を尿素呼気試験や便中抗原などで確認するのが良いでしょうか。
ただ、便検査は抵抗あるかたいらっしゃいますよね。…私もです笑
血清抗体か尿素呼気試験の希望が多くなりそうですね。
内視鏡を用いる迅速ウレアーゼ試験、組織鏡検法、培養法などは、前述の条件を満たしつつ再度胃カメラを行い検査をする必要があります。
迅速ウレアーゼ試験では検査後数時間以内に結果がでますが、他は病理検査に提出したり培養したりする必要があるため時間がかかるのが注意点です。
繰り返しますが、ピロリ菌は胃癌の予防にとても大事な検査です。
検査はもちろんですが、除菌の必要がある場合はしっかり治療するようにしましょう。
参考文献: ・「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」の一部改正について(◆平成22年06月18日保医発第618001号)
参考文献:・「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」の一部改正について(◆令和04年10月31日保医発第1031005号)
便潜血検査
便潜血検査は便の中に血液が混じっているかを調べる検査になります。
目には見えない微量の出血(潜血)を検出することで、腫瘍(癌やポリープ)や炎症を発見する手がかりとなる検査です。
- 40歳以上
- 血縁関係に大腸癌にかかった人がいる(大腸癌の家族歴がある)
- 定期的な健康診断の検査の1つ
一般的にこれらの人に推奨されます。
一方で既に明らかに血便が出ている人、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の治療中の方や診断目的には不向きです。
その場合は最初から大腸カメラを受けることが勧められます。
では、どのくらいの確率で検査が陽性だったり、病気であったりするのでしょうか。
令和2年度地域保健・健康増進事業報告の概況に記載ある「令和元年度がん検診受診者における要精密検査の受診状況」によれば、検査受診者の5.92%が陽性となっています。
その陽性者の中で大腸癌が発見される確率は約2.79%とされています(便潜血陽性検査全体の約0.17%) 。
参考文献:
健康増進編
しかし、陽性だからといって必ずしも大腸癌があるわけではありません。
痔核や一時的な炎症でも陽性になることがあります。
個人的な印象でもそのような方は多いです。
一方で国立がん研究センターによれば、大腸癌患者が陽性となる確率(感度といいます)は84%にもなります。(陰性であれば癌でない確率は92%です=特異度といいます)
参考文献:科学的根拠に基づくわが国の大腸がん検診を提言 「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」2024年度版公開|国立がん研究センター
つまり、陰性であれば、大腸癌の可能性はかなり低い(0ではない)。
ですが、陽性であっても必ずしも癌ではなく、他の出血の可能性がある。
しかし、大腸癌であればほとんど陽性となる。
ことがわかっているため、陽性になった場合は大腸カメラを受けることが大切です。
陰性であったとしても、100%大丈夫とは言い切れないので健康診断などで定期的に受けたり、人間ドックで大腸カメラを検討するようにしましょう。
便潜血検査は簡便で負担が少なくとても有用ですが、陽性時には放置せずに必ず大腸カメラを受けるようにしましょう!!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
後半戦の今回は、
- 消化管造影検査(バリウム検査)
- ヘリコバクター・ピロリ菌検査
- 便潜血検査
について解説しました。
いずれの検査も比較的簡便に受けられる検査(本当かな!?笑)であるにも関わらず、ピロリ菌や癌の診断に繋がる非常に大事な検査ばかりです。
億劫にならずに定期的に検査を受けるようにしましょう。
今日のもぐったー:
私が初めて胃カメラを受けたのは高校2年生の時でした。進学校(一応?)であったため、部活は高校2年生の冬でおしまいとなり、そのまま本格的な受験勉強を開始していた矢先の時期でした。今思えば食事の前後で胃のあたりの痛みを感じていたのですが、単にお腹が空いてたからだと思っていました。ある時なんとなく違和感を感じた母親に指摘され、父(医師)に眼瞼結膜(内科医が目をアッカンベするやつ)を確認され即血液検査、即胃カメラとなりました。結果、十二指腸潰瘍で貧血が進行していて輸血寸前レベルでした。とゆーか若いから輸血を避けただけで必要な基準でした笑 受験勉強の恐ろしさと、父に直接胃カメラをされ父の仕事を身を以て体験するとともに、違和感で気付ける母親の偉大さを知った出来事でした。
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