これって病気のサイン?外科医が教える消化器科受診のコツ①

外科医が教える消化器科受診のコツ1 おなか不思議メモ
「こんな症状があるときは消化器科を受診すべき」というポイントをわかりやすく解説していきます。前半戦です。
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消化器科を受診すべき症状

こんにちは。外科医のもぐたんです。

  • 急にお腹が痛くなった
  • もたれる
  • 食欲が出なくなった
  • 気持ち悪い
  • お腹が張る、便通が悪い

日常生活をしているうえで、こんな感じで調子が悪くなることってよくありますよね。

そんなとき仕事があったり、忙しかったりで、ついつい自己判断で様子を見たり、後回しにしてしまいがちです。

でも実は、こうした症状が大きな病気のサインだった、なんてこともあるんです。

急な腹痛が、実は虫垂炎で手術が必要だった、なんてことや、

便が黒っぽいのを放置していたら、実は消化管出血で内視鏡治療が必要だった、なんてことまであります。

この記事では、

こんな症状があるときは消化器科を受診すべき」というポイントを

前半と後半に分けてわかりやすく解説していきます。

前半は、

  • 腹痛(おなかの痛み)
  • 胸やけ・胃もたれ
  • 便通異常(便秘や下痢)
  • 嘔気・嘔吐(吐き気や嘔吐)
  • 食欲低下

後半は、

  • 体重減少
  • 黄疸(皮膚や目が黄色い・かゆい)
  • 血便(便に血が混じる)・便が黒い
  • 腹部膨満・違和感(お腹の張りや違和感)
  • 発熱を伴う腹痛(お腹の痛み+熱)

について解説していきます。

後半戦はこちらから↓↓↓

ご覧になって気になる症状がある場合は、迷わず消化器内科や専門医に相談してみてください。

腹痛(おなかの痛み)

腹痛は食べ過ぎやお腹が冷えた、などによる日常的によく起こるものから、命に関わる緊急手術が必要なものまで原因は様々です。

消化器系の臓器だけでなく、腹腔内にあるほかの系統、腎臓や子宮、卵巣などが原因で起こることもあります。

まれですが命に関わるもので心臓や血管系に異常があることもあります。

医師は腹痛を診察する際に、痛みのある場所、範囲、性状、痛む頻度や持続時間、などから緊急性や命に関わる疾患の除外から判断していきます。

特に

  • おなか全体の痛み
  • 動いた時に響く痛み(特に歩いたりかかとをついた時に響くもの)
  • 持続して休みのない痛み、発熱を伴う痛み

などはすぐに受診を検討してください。

胸やけ・胃もたれ

胸やけは胸のあたりが焼けるように熱く感じる症状で、

  • 胃酸が食道に逆流したり胃酸の過剰な分泌
  • 食道の動きや感覚の異常

などが原因です。

胃もたれは、食後に胃が重く感じたり、消化が遅く感じることによって感じる不快感で、

  • 胃の運動機能の低下
  • 胃酸の分泌能、消化酵素の低下
  • 胃の感覚(知覚)過敏

などが原因で起こります。

“胃が重たい”、”苦しい感じ”、”張っている”、”ムカムカする”、”苦いものが上がってくる感じ”など表現は様々です。

週・月の単位で症状が持続する場合は受診を検討しましょう。

便通異常(便秘や下痢)

排便の回数や性状が普段と異なる状態を指します。

便秘は

  • 腸管運動の低下により糞便中の水分が過剰に吸収されて便が固くなったり
  • 直腸や肛門の筋肉がうまく緩まず排出されにくくなったり
  • 物理的に狭くなる(癌や癒着、炎症など)

ことが原因で起こります。

一方、下痢は

  • 腸管から水分や電解質(ミネラル)が過剰に分泌
  • 腸管の蠕動運動が亢進することで腸管内の水分吸収が不良
  • 炎症で腸粘膜が損傷し水分吸収がされないこと

が原因で起こります。

回数や硬さではなく、「普段と違うかどうか」が判断の目安になります。

便秘、下痢が続く、または両方を繰り返す場合があります。

毎日排便があっても、残便感やお腹の張り、違和感がある場合でも便秘と判断され、治療が必要となることもありますので受診を検討しましょう。

嘔気・嘔吐(吐き気や嘔吐)

胃の内容物を吐き出す前の不快な感じや、実際に吐くことをいいます。

消化器の病気だけでなく、脳や心理的な問題が原因になることもあります。

実際には、

  • 炎症などにより胃や腸が刺激を受けて、嘔吐反射が誘発される
  • 延髄の嘔吐中枢が刺激される
  • 内耳の平衡感覚が乱れることで嘔吐反射が誘発される
  • 体内の代謝産物やホルモン、薬物の影響で嘔吐中枢が刺激される
  • 心理的要因

などがあげられます。

特に消化器系が原因で起こるものや中枢神経系が原因で起こるものは緊急性を要するものもあり、注意が必要です。

特に食事に関係のない急な嘔吐などはすぐ受診を検討しましょう。

食欲低下

漠然としていますが、これも嘔気嘔吐と同様に消化器やそれ以外の中枢神経や心理的なものが関与する場合があります。

  • 消化器系の炎症や機能低下から引き起こされる
  • 中枢神経の摂食中枢が抑制される
  • ホルモンや代謝産物の異常、薬物の影響で摂食行動が抑制される
  • 消化器にかかわらず炎症、感染に伴う作用で食欲が抑えられる
  • 心理的要因

これらが原因で、中枢神経にある摂食中枢と満腹中枢のバランスが崩れたり、胃腸から食欲抑制に関する物質が分泌されたり、ホルモンの分泌で摂食行動が抑制されるということになります。

食欲低下が持続することで、体重減少や全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。

週・月の単位で症状が持続したり、実際に体重減少を伴う場合は受診を検討しましょう。

前半のまとめ

いかがでしたでしょうか?

消化器科を受診する症状として、

  • おなかの痛み
  • 胸やけ・胃もたれ
  • 便通異常(便秘や下痢)
  • 嘔気・嘔吐(吐き気や嘔吐)
  • 食欲低下

についてお話してきました。

おなかの痛み、胃のもたれ、吐き気、便秘や下痢、食欲がない——こうした症状は、日常生活の中で誰しも一度は経験するものです。

しかし、「忙しいから」「少し様子を見よう」と放置してしまうと、実は大きな病気が隠れていた、ということもあります。

どの症状も、「ちょっとした不調」と思っていても、実は大きな病気のサインであることがあります。

症状が長引く、普段と明らかに違うと感じる場合は、自己判断せずに消化器内科や専門医に相談してください。早期の受診が、健康を守る第一歩になります。

それでは次回は後半戦に続きます。

後半戦はこちらから↓↓↓

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